2025.02.17
インタビュー
ズラリと並ぶ野菜たち!土居青果さん
#働くひと
南町通りを西へ抜けて右手。 大きいオーニングを張り出して、野菜を並べているお店があります。 これが土井青果さん! まあ入り入り〜と言われて、お話しを伺いました。

取材に伺ったのは2025年の2月17日。先週はとんでもない寒さでしたが、この土日は結構ポカポカ。でも、伺った月曜日は天気はいいものの風が非常に強く……。オーニングが下げられている…と思い覗いたのですが、風強いからねえ〜、危険だからねとのことでした。ついでにと言ってはなんですが、今回ここで働いておられる方にお話を伺います。おしゃべり上手で素敵な方だったので、この場ではマダムって呼ぼうかなあ〜。笑
なお店主さんは、奥で伝票作業中。
土居さんちゃうねん
ここのお店が始まったのはおよそ50年だか60年だか前のことだそう。最初の店主さんは既に引退されているので、この方は土居さんではありません。笑
それでも「駅西あるある・本名じゃなくて屋号で呼びがち」がここでも適用されます。「もう土居さんって呼ばれても違和感ないね」とのことでした!本名や所属を示す名前でなく、他の人の名前にアイデンティティ持つってなかなかなさそう。
青果店から食卓へ
ずっと気になっていたのが、この青いかごに入れて売るスタイル。同じ筋にあるブーちゃん青果もこのスタイルです。棚がない、台に置くスタイルの青果店にはこれがいいのかもしれないです。

トマト、私は苦手ですが先日朝市の大人に「え〜!トマトの妖精みたいな見た目してるのに!?」と言われました。
この日はしょうがやかぼちゃ、みかんが並んでいました。いかにも冬な感じのランナップですね。今お店でいい感じの商品ってなんですか?とお伺いすると、意外にも答えはトマト!特段このトマトが美味しいらしいです。トマト嫌いなマダムの旦那さんも、このトマトは好きで毎朝食べているんだそう!お野菜ってどこのでもいいという訳でもないんだと気付けますね。マダムも、ここにお手伝いにくる前は足りないものがあればスーパーに行っていたけど、お仕事しながら野菜の違いを理解していったとのことです。スーパーより安いし。そういえば、蒲田商店の由里さんもそんなことを言ってた気が。娘ちゃんが食べたがらない野菜も、「○○さんとこのだよ」と言えば食べてくれるという話もありました。このひとの選ぶ野菜は間違いないとの信頼があるって訳ですねえ。
取材時の写真を見ながら、青果店って鮮やかでいいなあと思いました。先に取材した枌原さんやブーちゃんのところもそうですが、ラインナップは季節によって変わるし、店主さんたちの目利きを通過した美味しい野菜たちだし、何より色とりどり!写真も撮りがいがありました。

商品が売れたらこのかごからビニール袋に移されるんでしょうね。
賑わってたの、意外に最近?
マダムはお手伝いなので9時くらいからお店にいますが、お店自体はもっと朝早くから開けてあります!普段店主さんは、2時に白浜の方の市場で仕入れをしてくるんだと。そしてお店は明け方には開けています。一度くらい駅西の本気の朝を目の当たりにしたいところですね。
20年から25年前まではここも人通りがすごかったみたいです。今までもそんなお話は色んなお店の方から伺っていましたが、意外に最近の話??私が今20代なので、少なくともカラーの時代の話だったんだなあと思います。年末の買い物ラッシュの時は、新聞に載るほどの人だかりだったというので、探したら出て来そう!今日の取材相手になってくださったマダムも、ここに来た経緯はこの人通りのとんでもなかった時期に関係あるんだそう。当時はお客さんが多すぎて人手不足だったからお手伝いが必要だったみたい。マダム、「今考えるとすごいねえ」だって。ん?今考えると……?なんと当時はそれが普通の光景だったので、すごいという感覚もなかったそうです。今の感覚ならディズニー2時間並ぶとか、コストコでかいとか、そういう感覚の「普通」でしょうか。色々状況が変わってから考えてみたら、いや来すぎとか、そんな食べんやろとか、そんな感じ?
この日強風だった話です。土居青果さんの目の前に高層のホテルがあるのですが、やっぱりここの日影になったり著しく風が強くなったりはあるみたいです。高層建築が建つことによるインパクトって、多方面だなあと感じます。駅西ではここのホテルやマンションが注目されがち。それができることがいいとか悪いとかの話ではないですが、ホテルが建って外国人観光客のお客さんが顔を出すようになるお店もあれば、物理的な影響を受ける店もあり。今のような素朴な風景を残したいと活動する人もあり、一つ建物が建つにしても、色んな方面に色んな思いが新たに生まれるんだなあと都市計画研究室は思います。
店主さんにレモン届けてと頼まれて、ここで取材は終わってしまったので、取材後に話の途中だったのにごめんねえと改めて来てくださいました。「なんかまだ語りきれないことありましたか!?」と聞けば、「そんなん語りきられへんわ!」とのこと!なおご本人も、ほぼ初対面ながら色々お話ししてくださる気さくな方でした。またおしゃべりしにいこう。

隣は夜営業の飲食店。逆の隣のシャッターには、朝市のポスターを貼っていただいています。

この記事を書いた人:どひ
兵庫県立大学4年生(2025年2月現在)。都市計画研究室に所属し、個人的に朝市のお手伝いをしている。縁があり夕雲舎でライターとして駅西にいる人の取材を行なっている。コミュ力おばけ。