2024.10.09

インタビュー

ワーワー言うてる方がええやん!枌原青果の仲良し夫婦に割り込んでみよう

#働くひと

おじいさんの代からここで青果店を営んでいらっしゃる枌原さんご夫婦。 駅西にある昔からのお店の中でも、特ににぎやかな印象のお店です。 聞けば聞くほど出てくる、興味深いかつての駅西。 仲良し夫婦の尽きないお話を、なんとかまとめてみせます。

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南町商店街をそのまま西に進んで角を右に!

オレンジ × 白のオーニングがかわいいお店が、枌原青果(そぎはらせいか)さんです。
色んなお手伝いの方の目撃情報がありますが、お店を経営していらっしゃるのはこちらのご夫婦。 普段の日も朝市のときもご機嫌よく挨拶してくださる方々。

枌原さんとここの建物

昔からここでお店をされているので、昔の駅西のことについてたっぷり語って下さいました。
まずこの店舗自体は、現店主さんのおじいさんの代から引き継いでいるものだそう。

つまり、創業 70 年以上! 「ここもなあ、色々ガタが来とるね~ん」らしいです。

枌原青果さんの隣にはお漬物屋さん、そしてさらに隣にはお惣菜屋さんが並んでいたといいます。
その2軒はすでに閉業されていますが、一緒に建物の1階部分を借りていた、ということになります。
そして2階には、大家さんが住んでいたそう。
ちなみに、現在は住める状況ではないとのことです。笑

お店に一歩入らせていただくと、年季の入った指定書を見せていただきました。
青森のりんごを取引していいよ~と示すものですが、なんと昭和 39 年、つまり 1964 に発行されたもの。
もうひとつ前の東京オリンピックの時代のものですね、すごすぎる!
現店主さんのおじいさんがこの時代にお店を切り盛りされており、 昔はりんごの買い付けのために、青森まで夜行列車で向かっていたんだと!
さらに現在と違って現金商売なので、下着や腹巻に現金を縫い付けていたと!

「姫路より青森にいる時間の方が長かったんじゃない?」とのことでした。

(写真)

例の指定書をよく見てみると、見慣れない文字が。
松┐(松の字を、かぎかっこ「の逆向きのものが囲っている)…?

これ、「カネマツ」と読むんだと教えていただきました!
調べてみると、商店の名前によくある表現で大工さんが使う定規を見立ているんだと。
昔はカネマツ青果という屋号だったそうです。
なので、昔からのお客さんからは、よくこちらの屋号で呼ばれることも多いようす。

私は今回、ひとつかしこくなってしまいました。

また、これも代々使っているものです。

年季の入った机と黒電話。
店舗を少し改装した際に、この机も…となったものの、周りの人に「これは残しておくべき」と止められた代物です。
雰囲気がすごいですね。
黒電話の方は、もう博物館レベルではないでしょうか!?
私は枌原さんちの黒電話が、初めて見る現役の黒電話でした。
普通に使えるよーとスマホで電話をかけて、ジリリリリ…と鳴らして見せてくださいました。
使えるのはわかったけど、スマホから黒電話に繋がる違和感がすごい。

最近はもっぱらスマホで連絡を取るようになったけど、昔ながらのお客さんはこっちにかけてくるねと おっしゃっていました。

枌原青果さんには、色々すごいものがあります。

枌原さんと果物

この日、ちょうど伺ったタイミングで配達から帰ってこられました。
山野井町のローソンなどに、果物を卸しているそうです!
そういう販売形態もあるんですねえ。

駅西のお店の方では、お話を伺っている間に梨が買われて行きました。
ちなみに今の旬は?と伺うと、まさに梨、りんご、ぶどう…それと柿、今からはみかんも…とのこと!
まさに秋の果物というラインナップですね。

商品の陳列、値札の置き方もなんだかかわいいですね。

私のおすすめは、パックのりんごジュース!
端をピッと切って、そのままストローを差して飲みます。
奥で冷やしているものを出して下さいます。

ジュースに使われるりんごの種類も時季によって変わっていきます。
順番は、1つがる→2しなの→3ふじ !
入れ替わっていくので3種類同時に試すのは難しいですが、 タイミングが良ければ順番が隣になっている種類どうしは飲み比べができるそうです。
味わいの違いも、同時に飲んでみれば意外にわかりやすいとのこと。 入れ替わるタイミングはご夫婦に伺って、ぜひチャレンジしてみてください。

「ココはこれだった」って話にこそロマンってあるよね

昔の駅西についても伺うと、書ききれないほどたくさん面白いお話をしていただきました。
例えば、枌原青果の目の前に串カツ屋さんがあったとか。
喫茶店が何軒もあって、その時のクセのあるコーヒーが懐かしいとか。
特に興味深かったのが、JR 姫路駅西の大きなコインパーキングが、市場の時代は 市場に買い付けに来る人の使う駐車場だったということ!

JR沿線の駐車場。

今でも十分広いですが、昔はそれだけここに集まる人が多かったということですよね。
そして、その駐車場に面しするモノレールゲタのコインランドリーの部分には、 市場の事務所が入っていたそうです。

この2階が事務所でした。

昔の面影がもうあまり無いように感じられる現在の駅西ですが、知ってみれば かつての使われ方も、顔を出してくれます。

賑やかな方が楽しい

将来の駅西には、もう少し人通りが増えてくれたらいいな、と全面道路を見ながらおっしゃっていました。 かつて枌原青果が面する道路は、北行きの一方通行でした。 でも今は、中心線もないほどの道路幅員のまま、双方通行になっています。 取材にご協力いただいている間も、確かに車が多い印象でした。

とは言いつつ、毎月開催されている「旧市 のきさき朝市」にはかなり積極的な印象の枌原さんご夫婦。

結構協力的と言いますか、よく声をかけてくださいますよね(筆者は朝市スタッフもしています)と伺うと 「ワーワー言うてる方がいいやん」と!

多分賑やかなのがお好きなんでしょうね。笑
朝市の日に特別売上が良いわけではないけれど、朝市きっかけでまずお店の存在を知ってもらえれば、 新たなお付き合いもできるとおっしゃっていました。名前を知らない人でも、どこかで会ったら声をかけてくれる関係ができると。

枌原さんのおっしゃる通り、駅西エリアでよくウロウロしている人って、 私は本名しらない人も多いんですよねー。
みんながそう呼んでるから名前知らないけどそう呼ぶようになったとか、屋号で呼んでるとか、 あるいはそういうものも一切ないけれど、よく見る顔だからなんて呼ぶべきかわからなくても 楽しく会話できるとか。
所属を気にせず話ができる関係ってことで、貴重なご縁だなあと感じますね。

最後まで読んでくださったあなたもぜひ、りんごジュース片手に、新しい関係を築きに行きませんか!

この記事を書いた人:どひ

兵庫県立大学4年生(2025年2月現在)。都市計画研究室に所属し、個人的に朝市のお手伝いをしている。縁があり夕雲舎でライターとして駅西にいる人の取材を行なっている。コミュ力おばけ。