2024.10.30
インタビュー
駅西唯一の古本屋・あまかわ文庫
#働くひと
2024 年の 9 月に開店した「あまかわ文庫」さん。 少し奥まった、シェアキッチンあわあわの 2 階にて営業中です。 古民家の香りが強いあわあわ2階の雰囲気にマッチした本の空間はなんだか懐かしい空気。
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引き戸を開けて、スリッパをはいて、2階へ!
南町商店街から西に続く筋をひとつ入った細い路地にある、シェアキッチンあわあわ。
その2階右手側に、2024 年の 9 月に入ったあまかわ文庫さんのお店があります。
入ってみると、一面本棚!
本ばかりではなく、地図や切手などの紙ものの棚もあるのが面白いところ。
そんなあまかわ文庫の店主さんは、尾﨑さん。
この近辺で交流のある人たちには「あまかわ文庫さん」とそのまま呼ばれているそうですが、筆者のイメージは「おざきさん」です。
普段は、14:00~20:00 であわあわ2階のお店を開けていらっしゃいます。
どうやらお昼過ぎスタートなのにも理由があるそう。
駅西にやって来た経緯を伺いました。
おざきさんはどこからやってきたのか
おざきさん、駅西にやってくる以前から、姫路の飾東町でブックカフェを営業されています。
こちらのお店は天川のそばにあり、現在もそちらを拠点として続けられているようす。
お母様が喫茶店を始められた時、古本を置いたら楽しくなって…とのことでした。
最近までおざきさんはサラリーマンをされていて、古本メインに切り替えたのも本当に最近のこと。
高砂の十輪寺で開催されている古本市「ほんのわいち」で出会った人がまさかのあわあわの人だったご縁で決まりました。
その古本市で「あわあわ、使いませんか?」と声をかけられて、2024 年の 9 月に駅西にあるこの姫路駅前店がオープン!
ちなみに、姫路駅前店開店の5年程前から古本に興味を抱いたというおざきさん。
古本を集め始めたのは、ご自身の好きな作家さんの作品に絶版が多く、入手が困難だったことがきっかけだそうです。
かつての自分のように、ピンポイントで本を探す人の手元に届いて欲しい、とおっしゃっていました。
あまかわ文庫ラインナップ
ここの店舗では、特に分野を限定することなくオールジャンルを扱っているそうです。
中でも、文学やアートが中心。
拠点のお店の方では、買取先のお宅にも伺い、チェーンの大手古本屋では買取ができないような本にも値段を付けます。
逆も然りで、あまかわ文庫さんでは買い取れないけども大手チェーン店だと買い取るようなものもあるんだとか。
それに、店舗に出す本とネットショップに出す本は区別しているそうです。
店舗の本は価格も内容も比較的とっつきやすいものが厳選されていますが、ネットショップの方にはものすごい値段のが置いてあるよと、おざきさんは言います。
が、店舗の本でもものすごいの、ありました。
「これってもしかしてものすごい!?」と感じる本、お店でもネットでも、探してみてください。そしてそのお値段は、相場ももちろんですがご自身の「良さそうや!」でも決まるそうです。 その感覚ってどうやって磨くものなんですかね?とお伺いしましたが、う〜んなんなんでしょうね…とのこと。
きっと色々な本を見たり教わったりして蓄積していくもの…なんでしょう、おそらく!
そんな中でも、少し雰囲気の違う本棚が。
ここは別の本屋さんに貸している棚なんです。

芸備書房の棚。ラベリングがゆるいですね。
借りているのは、赤穂の芸備書房さん。
国内外の古い地図や、サイン色紙、切手をはじめとする本以外の紙ものを中心に置いてあります。
一番下には、国鉄の時刻表も!
「国有鉄道」や「公社」の漢字をみるだけでもおお!昭和だ!となりますね。
筆者は地理の話が好きなのでこの棚にはワクワクします。
その面白さがなんだかよくわからないなあ…と思っても、芸備書房の店主さんがよくお話してくださいます。
あまかわ文庫さんを伺ったこの日、棚を借りる代わりに週 1 回店番をするとのお約束でちょうど芸備書房の店主さんがいらっしゃっていました。
これってどこですかね?と外国の地図を指すとすぐに地名と国名が結びつくのがスゴイ!
どうしてそんなにお詳しいんですか?とお伺いすると、「ただの地理オタクだよ」とのことでした。
そう聞けば、納得のラインナップ。
少し毛色の異なるこの一角については、棚を借りている芸備書房さんに色々質問してみると楽しそうに教えていただけます。

このデスクで店番。この日の店番は、芸備書房の店主さんです。
おざきさんの棚に話を戻せば、聞いたことのある作家さんの本も普通にあります。
チェーン店でない、本格的な古本屋さんって、欲しい本がないとなかなか入ってみるのに勇気がいるような。
でもここを見ると意外とそうでもないのかも?
そう思わせるほど幅広い分野の本をここの店舗では扱っています。
さらに、特に得意だというのは詩歌の棚。
小説とは異なって、詩歌の本は売れる・売れないがはっきりしているのが面白いんだそう。 いち消費者が知ることのない、古本流通の裏話ですね…。
新本もあるけどね
と、古本の話ばかりになりましたが、あまかわ文庫では新本も置いてあります。
看板にも、「古本と新本」とありますね。
でも、ここで扱う新本は、みなさんが一般に想像する新本、つまり普通の本屋さんに置いてある本ではありません。
いわゆる小出版、リトルプレス、大きい流通には乗らないような新本に、ここでは出会えます。

ここは新本コーナー。
将来的には、古本:新本の割合を 1:1 にしていきたいそう。
この割合については、古本屋さんにも色々好みがあるそうです。
でも、おざきさんは敢えて古本と新本を分けないようにしています。
たくさんの古本の中に、新本が所々混じっている状態。
古本を物色しに来て、本棚から手にとってみれば新本
という場面もあるかもしれませんね。
しのくぼエリアでは、店主さんに声をかけないとお買い物ができないところが面白いところ。
あまかわ文庫さんのように、新しくここでお店を始められた方でもそれは同じようです。
量販店とはだいぶ違う!
それぞれの個性が強いお店が集まり、少しずつ更新されていく様子をこれからも見守っていきたいところです。

この記事を書いた人:どひ
兵庫県立大学4年生(2025年2月現在)。都市計画研究室に所属し、個人的に朝市のお手伝いをしている。縁があり夕雲舎でライターとして駅西にいる人の取材を行なっている。コミュ力おばけ。